Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「兄貴、コイツですわ。あと過去の女に関係があるみたいです」
「そうか……」
一也さんの声でうっすらと目を開いた。
差し込む光が眩しく、扇風機の風力で揺れる風鈴が鼓膜を震わせた。
あたし…あのままお兄ちゃんの腕の中で寝ちゃったんだ――…。
鏡を見ながら唇を人差し指でなぞる―…。
つい、さっきまでこの唇にお兄ちゃんの唇が重なっていたんだ…。
思い出すだけで顔が茹でタコに変身した。
「麻里、起きたのか?」
「う、うん」
慌てて鏡を伏せ、乱れた髪を整えた。
「おはよう、麻里」
お兄ちゃんは頭を撫でながら頬っぺたにキスをした。
な、なんで…人前でキス??
一也さん達、見てるし…
「お、お兄ちゃん?正気ですか?」
「何気にしてるんや!麻里のアホ。俺に逆らう奴なんかおらんわい。てかアイツらが麻里とこうなる日を望んでたからな」
「え……?」
視線を一也さんに向けると怖い顔に笑窪ができ、両手はピースサインをしていた。