Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「麻里…どこに行ってたんだ」
ドアを開けると髭が伸びまくりボサボサの頭の剛が立っていた。
中に入ると台所の流し台はカップ麺の空や洗われていない食器が溢れていて、かつてあたしがいた頃の面影は微塵(ミジン)も無かった。
脱衣所の汚れた衣類を寄せながらリビングに足を入れた。
「これ、返す。渡す人…間違ってるんじゃない?」
煙草の空箱が散乱している上に誕生日に貰ったダイヤのネックレスを置いた。
最初貰った時からおかしいと思ってたネックレス。
新品にしてはキズが付いていたし、チェーンの一部の色が違った。
大切な彼女の形見があたしに似合うはずがない―。
「な、何でだよ!俺は麻里にプレゼントしたんだ」
剛はボサボサの頭を掻きむしりながらうろたえていた。