Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「剛、もうこんな悲しいこと止めようよ。天国にいるマリさんが泣いてるよ。それに、銃を放したのはお兄ちゃんの組じゃ… 」
「うるさい!!!」
あたしの頭上をグラスが通過し、けたたましい音が部屋の中に響く。
「俺は何もかも奪ったヤクザが憎いんだ。マリが死んで復讐する事だけを考えて生きてきた」
「だからそれはお兄ちゃんの組じゃないって」
「今となっちゃどの組とか関係ねぇ。ヤクザはヤクザだ。人の女殺しといてのうのうと生きてる奴らなんか極道じゃねぇ。外道なんだよ」
剛はあたしの胸倉を掴み尚も呼吸を荒くしながら話し続けた。
「街の屋台で客が話しているのを聞いたんだ。あの事件は宮滝組が絡んでいて加賀組が潰そうとしていることもな」
「それで加賀組に入ったのね…?」
「手っ取り早いと思ったからな。それで調べていくうちに宮滝組の若頭に妹がいる事を知りお前に近付いた。大事な妹を手玉に取ればさすがの兄貴もお手上げだろうからな」
剛の顔は人間では無かった。
怨念に生きる生き霊だった。