Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
あたしは幸いにも一命を取り留めた。
あの日の脱走事件に胸騒ぎを感じたお兄ちゃんが事前に調べておいた剛のアパートに駆け付けてくれたらしい。
血まみれになったあたしを担いで病院に運んでくれ命を救われた。
「お…にい…ちゃん…ゴメンネ」
緑色の酸素マスクが邪魔で上手く話せなかったが枕元でずっと手を握っているお兄ちゃんに謝った。
「馬鹿野郎!俺の寿命縮めやがって!!」
お兄ちゃんの目から大粒の涙があたしの頬に落ちる―……。
お兄ちゃんの幸せを願ってしたことが逆に苦しめていることを後悔した。
そして握り合う手の中には、あのエメラルドとトパーズの指輪がしっかりと重なっていた――…。