Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「何はともあれおめでとう」
あたしは莉奈と炭酸飲料が入ったシャンパングラスで乾杯をした。
「ねぇ、麻里は颯斗さんとどうなったん?一緒に暮らすんでしょ?麻里も極道の妻になる決心固めなきゃね」
「う、うん…」
あたしは曖昧な返事をしてホステスと騒いでいるお兄ちゃんに視線を移し大きなため息を吐いた。
それもそのはず…。
一緒に暮らすと約束したのに退院してからあたしは山崎家で相変わらずの生活を送っていた。
両親を説得しに来る様子もなく、ただ時だけが過ぎていった。
「二十歳の約束まであと一週間じゃん♪その日、きっと白馬に乗って迎えに来てくれるよ」
「白馬って…お兄ちゃん馬乗れないよ」
「プハァッ!ったく麻里はほんと馬鹿なんだから。例えでしょ」
莉奈は吹き出した炭酸飲料を素早く拭き取り笑った。
白馬ねぇ…。白馬って言うより闘牛っしょ。
あたしは何も知らないお兄ちゃんを想像しながら見つめていた。