Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
〜第二章〜 兄の影
「じゃあ、お母さん行ってきます」
「車に気をつけるのよ」
夕食を軽目に食べて、いつものように紙袋を手にして地味な格好でお母さんに見送られながら家を出た。
塾のアルバイトなんて全くの嘘―…。
本当は男相手に酒をつぎ笑顔を振り撒く仕事、ホステスだった。
参考書と偽った紙袋には着替えとメイク道具がぎっしり入っていて駅のトイレがあたしの更衣室だった。
別に山崎家に不満があるわけじゃない。お小遣だって高校生にしては十分過ぎるほど貰っていた。
でも仮面の自分から抜け出したかった。
嘘で塗り固めた毎日から開放されたかった。
それに、お兄ちゃんが迎えにきてくれるまで、あと二年。一緒に暮らす為にはお金が必要だし、手っ取り早く貯めれるのは水商売しか思いつかなかったのだ。