Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「ねぇ、麻里。ずっと思ってたんだけど…」
鏡の前で念入りに髪を巻いていると隣でメイクをしていた莉奈が鏡越しにあたしの顔を覗き込んだ。
「ん?何?急に真面目な顔しちゃって」
「うん、麻里がずっと付けているネックレスの指輪…どうして二つあるのかなぁって思って。そのピンキー指輪に誕生石入ってるじゃない?麻里は十一月生まれだからトパーズで分かるけど、あと一つはエメラルドだよね。あたしと同じ五月の誕生石だから」
「あ…これ?」
あたしは胸元に光る指輪を触りながら莉奈だけに過去を打ち明けた。
「両親が生まれた記念にそれぞれ買ってくれてね…。お兄ちゃんがあんな事になって離れていても兄妹だって証に渡してくれたの。ホクロも証なんだ。お兄ちゃんも、あたしも左側の耳タブにホクロがあるんだよ。不思議だよね」
「なんか素敵だなぁ。麻里にお兄ちゃんがいるのには驚いたけどね。で、お兄ちゃんは今どこで何してるの??」
莉奈に兄がいることを隠していた訳じゃなかったけど、教えたら絶対今の兄の状況を聞かれるだろうと思ったら言い出せなかった。