Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
会長さんのいる病院に着くと沢山の組員達が集まっていた。
篤さんや莉奈の姿もあった。
颯斗は泣き崩れ待合室の自動販売機にもたれ放心状態なのが分かった。
「麻里…会長さん、たった今、息を引き取られたわ」
あたしに気付いた莉奈がハンカチで目頭を押さえながら抱き着いた。
病室に目を向けると死後の処置を素早く行う看護師の姿が隙間から伺える。
アンモニアのキツイ臭いが吐き気を強めた。
「くっそぉ!!親父が死ぬなんて!!」
颯斗が自動販売機を蹴ろうとするのを篤さんが必死に宥めていた。
「颯斗…落ち着いて」
颯斗に近寄り震える大きな肩を抱きしめた。
「麻里…何でここに?一也が迎えに来たはずだろ…。早くニューヨークに行け」
「必ず迎えに来るって約束颯斗の口からどうしても聞きたかったの。待つのって辛いから」
「ごめん、麻里…。麻里も大切だけど今は親父の事しか考えられないんだ…お前も極道の妻なら分かるだろ…」
「……」
あんな辛そうな颯斗の目を始めて見た。
言葉すらかけてあげれない自分が情けなかった。