Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
会長さんの葬儀はこれ以上抗争を広めない為に警察官による警戒体制の中、行われた。
棺には常に手にしていた将棋の駒が入れられ会長さんの成仏を祈った。
あたしは会長さんの葬儀が終わるまで日本に残りニューヨークへの出発を明日に控えていた。
颯斗は会長さんの死を受け入れらずに夜になると会長さんの好きだった庭で泣いていた。
「こんな所にいちゃ風邪引くよ」
「あぁ…」
「会長さんも夜になるといつもこの石に座って星を眺めていたよね」
「親父、あの星になったんだよな。任侠の世界を生き抜いて、やっと将棋に集中できるって喜んでいたのによ…チクショ…」
颯斗の拳が石に叩き付かれ血で赤い模様になっていく―。
「そんなに自分の体を痛め付けるのは止めて…辛いのは颯斗だけじゃないんだよ」
「何で俺じゃなくて親父なんだ!!俺の命を取れば良かったんだ。クソッ…」
「颯斗の馬鹿!颯斗は生きなきゃ駄目なの!父親になるのよ」
「何だって…?父親…って…まさか…」
あたしはゆっくり首を縦に振った。