Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜


「麻里…俺は絶対死なない。約束する。お前も俺が極道だと分かって一緒になったんだろ?子供達もきっと分かってくれる。俺と麻里の子供なんだからな…」


颯斗は凍ったあたしの体をすっぽり包み込み抱きしめてくれた。


颯斗の生きる道に花道を咲かせてあげるのは妻のあたしにしか出来ない。


小さい頃からずっとあたしを信じて守ってくれた。


だから今度はあたしが信じて守らなきゃいけない。


”必ず迎えに来る”


颯斗は二度目の約束を交わし次の日の早朝、組員を連れず、たった一人で加賀組に乗り込んだ。


颯斗が行く前、あたしの耳元で”愛してる”と呟きお腹の赤ちゃん達にキスをした。


本当は”愛してる””行ってらっしゃい”って見送ってあげたかった。


でも…”行かないで”と言ってしまうような気がして寝たふりをするしかなかった。


扉がパタンと閉まった瞬間、堪えていた涙が溢れ落ちた。


窓から見える颯斗の後ろ姿は誇らしげで、まるで花道を歩くように見えた。


そして何度も”いってらっしゃい”と颯斗が見えなくなるまで手を振った―。





まるで永遠の別れと知っているかのように――…。











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