Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「莉奈と麻里は、もう上がっていいわよ。事務所にお給料あるから忘れないでね。気をつけて帰るのよ。お疲れ様」
「はい。ありがとうございます」
お客の入りが少ない上に売上の元でもある客からのお酒が飲めないあたし達は時々、いつもより一時間程早く帰らされた。
「もぉ〜またあの親父あたしの胸触りやがった!入る店間違ってんじゃねぇの。マジ最悪。あたしの体は愛するダーリンが出来た時の為に大切に取ってあるのにさぁ」
店を上がり更衣室で煙草をくわえ文句を言う莉奈はこの道何十年のホステスのように見えた。
「あのオッサンの脳みそはエロの固まりだもんね」
あたしは笑いながら軽くメイクを落とし巻いていた髪をお母さんに気付かれない為にアップに結った。
「麻里、まだお母さんにバイトの事言ってないんだ」
帰るだけなのに、いそいそとメイクを落とすあたしに莉奈が言った。
「今まで大切に育ててもらったのに水商売のバイトだなんて、とても言えないよ」
「麻里も大変だね。ねぇ今日給料入ったし今からカラオケ行かない?明日学校休みだって言ってたよね?」
「うん!!まだ終電には早いし久しぶりに行こっか!」
あたしはお母さんに遅くなることを電話で伝え莉奈と行きつけのカラオケ店に向かった。