Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「おい待て!貴様らどこまで腐ってんだよ!」
山奥まで追い詰めると加賀は膝を地面に付け怯えていた。
もはや組のドンとは思えない程の哀れな姿だった。
「ゆ、許してくれ…。金ならいくらでも渡す。命だけは…助けてくれ…」
「は?命?ふざけた事を言う口だね。どうして主人との約束を守らなかった?男が一度吐いた唾を呑み込むなんてみっともない!!うちの人はたった一人で闘ったのよ…そのオトシマエ付けてもらおうか!!」
「ま、待ってくれ…」
「颯斗の敵!!とりゃあぁぁ…」
グサッッ――…
ウォォォッ――…
加賀があたしの前で血を吐き倒れゆっくりと刀が地面を転がる―。
颯斗の無念、今、ここに晴らしたよ――…。
あたしもなかなか極道の妻らしくなってきたでしょ…?
颯斗のいる天を見上げた時だった――…。
ダァァァン――…
静けさの中、鳥の群れ達が羽を広げ一斉に飛び立つ――。
あたしの腹部から大量の血が流れ朦朧とする中で誰かが逃げて行くのが分かった――。