Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「麻里、おめでとう」
店はパーティー会場になっていた。
下心丸出しの親父達がここぞとばかりに、花束やブランドバックなんかを持って来て、あたしの足やお尻に手を当てる。
”触るな”と心の中で叫び表面は笑顔で”止めてよ”と甘ったれた声で演技する自分に吐き気がした。
あたしって水商売肌に合ってたりして……?
なんて思っていた。
「今日は麻里の誕生日か」
急に店内が静かになったと思ったら、組長の篤さんが扉から顔を覗き込んでいた。
篤さんは月に二回くらいのペースで店に顔を出していた。
「篤さ―ん!」
すかさず莉奈が篤さんに近寄る。
それもそのはず、莉奈は篤さんに本気で惚れていた。
莉奈と篤さんの出会いは二年前、莉奈のおじいちゃんがチンピラに絡まれているところを篤さんが助けて、怪我したおじいちゃんを担いで病院まで運んだらしい。
それで、職を探していた莉奈に篤さんの店を紹介して働くようになった。