Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「麻里ちゃん、帰ったの?荷物届いてるわよ」
誕生会を終え、莉奈達に二次会を誘われたが、どうしてもそんな気分にはなれず早々と家に帰った。
あたしの頭の中は誕生日よりもお兄ちゃんの事でパンクしそうだった。
「麻里ちゃん荷物持って来たから入るわよ」
お母さんの声に慌てて、お兄ちゃんの名刺を枕の下に隠した。
「ほら、綺麗な薔薇の花よ。毎年歳の数だけ薔薇を贈るなんて優しいお兄ちゃんね」
透き通った青い花瓶に入った十八本の薔薇はどれも綺麗な赤色に染まり何もない部屋が一変に明るくなった。
「あとこれ。今年は手紙付きみたいね」
お母さんはブルーの封筒を渡すとあたしの頭をグシャと撫でて部屋を出て行った。
部屋中に漂う薔薇の香が今日が誕生日だという事を実感させた。
そしてブルーの封筒を手に取りハサミで丁寧に封を切った。
お兄ちゃんからの初めての手紙に封筒から出した便箋をなかなか開けなかった。