Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「お兄ちゃん!!」
うっすらと開けた瞼の奧に映ったのは颯斗お兄ちゃんだった。
男たちはお兄ちゃんの顔を知っているのか血の気が引いた顔をしてうろたえている―。
お兄ちゃんがあっという間に男たちを殴り奴らは逃げるように去って行った。
Angelで見たことあるような舎弟達が高級ベンツの前に立っているのが分かった。
やっぱりお兄ちゃんは”マフィア”だということを認めざる得なかった。
「麻里、大丈夫か?一人でこんな夜道を歩くなんて危ないじゃないか」
お兄ちゃんは乱れた服の上から高そうなスーツの上着を優しく被せ強く抱き寄せた。
あの時と同じ匂い―…。
お兄ちゃんの誕生日に初めてプレゼントした香水の匂い。今も付けてくれてるんだ…―。
間違いなくあたしの大好きなお兄ちゃんの匂いだった。
ずっと待ち続けていたお兄ちゃんの腕の中に今あたしはいる―。
小さい頃からいつも体張って助けてくれた―。
実際にお兄ちゃんの温もりを肌で感じた時分かったんだ。
”例えお兄ちゃんがヤクザでもあたしの大好きな颯斗お兄ちゃんには代わりない”って…。
血の繋がったたった一人しかいないお兄ちゃんなんだもん――。
お兄ちゃんとの再会は長い間抜け出せなかった迷路にやっと出口の光が差し込んだような感情に似ていた――。