Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「麻里ちゃん、どうしたの?」
お母さんは途中だったプランターを片付けるとリビングにかじかむ手を擦りながら入ってきた。
ついさっきまでレモンティを飲んでいたこの部屋には甘い香がまだ残っていた。
「お父さんとお母さんには本当に感謝しています。血の繋がっていないあたしをここまで何不自由なく育ててくれました」
「麻里ちゃん……?」
冬の日没は早く、夕方六時前だというのに辺りは薄暗く、微かに開いてる窓から冷たい風がリビングの温度を下げる。
「お母さん、あたしね本当はいい娘なんかじゃないの。学校ではお母さんの言ってた不良だし勉強も好きじゃない。それに塾のバイトなんかじゃなくて……」
気付いたらスカートの上 が涙で水玉模様を描いていた。
「麻里ちゃん飲み屋街でバイトしてるんでしょ……?」
どうしてお母さんが知ってるの……?
まさか、莉奈が言ったとか……?