Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「夢は…消えちゃった」
「何だよ、ソレ…変な奴やな」
だって本当のことだもん。ずっと抱いてた夢は大人になった今、シャボン玉のように弾けて消えたんだから…。
「それよりお兄ちゃん、どうして綾香さんと別れたの?もしかして、あたしが原因?あんな酷い事言ったから」
布団から身を乗り出してお兄ちゃんの方を見る。
さっきまでの緊張も現実を知らされてから嘘のように消えた。
「綾香?懐かしいなぁ。麻里には関係ないよ。俺の本性を知ったからじゃねぇか?」
「ふぅ〜ん」
「てゆうか、もう寝るぞ!明日、寝坊したら初詣連れて行かねぇからな」
くるりと背を向けたお兄ちゃんは、数分も経たないうちに眠りについた。
でも、本当は眠ってなかったんだよね…―。
あたし、気付いてたよ。
お兄ちゃんがずっとあたしの寝顔見てたこと…―。