Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「ねぇ、お兄ちゃんアレまだ残ってるかな?」
「アレ?残ってるわけねぇよ。帰るぞ」
乗り気じゃないお兄ちゃんの手を無理矢理引っ張りアレの場所まで走った。
「確かこの辺だったよね」
小さなスコップで懸命にその場所を探る。
”アレ”とは、お兄ちゃんが小学校を卒業した日に桜の木と一緒に埋めた小さな瓶。
「いいか、麻里の好きな人の名前を書いてこの瓶に入れるんだ」
「どうして?」
「俺達が大きくなってこの中身を見た時、その人と一緒なら結婚できるんだ」
「うん、分かった!」
小さなメモ用紙にそれぞれ好きな人の名前を書いて先生に貰った瓶の中に詰めた。
もちろん、あたしはお兄ちゃんの名前を書いた。
お兄ちゃんは多分、同じ施設の美嘉ちゃんと両想いだったから彼女の名前を書いたに違いない。
一緒に見るのが妹でごめんね…と思いながら掘っていると固い何かに触れる音がした。
「あぁ―、見つけた!!!」