Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜


土塗れになった小さな瓶は、あたし達の想い出をちゃんと温めてくれていた―。


「お兄ちゃん、開けて」


どこか気まずそうなお兄ちゃんは嫌々ながらも固い蓋を簡単に開けてくれた。


開けた途端、懐かしい匂いがした。


ゆっくりとメモ用紙を手にとり、あたしはお兄ちゃんのを、お兄ちゃんはあたしのを”せーの”の掛け声で開いた。





「…………!!!!」





中身を見て驚きを隠せない―。


だって、お兄ちゃんのメモ用紙には美嘉ちゃんじゃないんだもん…。


何気にお兄ちゃんの顔を見ると耳たぶがやたらと赤い―。


お兄ちゃんが書いた名前は…”あたし”だった。


―――――――


まりとけっこん

できますよぉに


はやと


―――――――



「アハハ…あの頃は麻里が可愛くて仕方なかったからな。お前も俺の名前書いたのか。やっぱ兄妹愛だな」


そう言って笑ってごまかした。








ねぇ、お兄ちゃん


あれは本当に兄妹愛
だったの?


本当はあの頃から
あたし達、両想い
だったんだよね?


ううん、
生まれる前からずっと…。












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