Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「だからヤクザに?」
「あぁ。親父には返しきれない程の恩がある。だから親父の築き上げてきた愛する組を守る事が親父への孝行なんだ」
「でも…麻薬とか銃とか…つまり、犯罪を平気で犯してしまうんでしょ?」
寿司職人達の威勢のいい声が店内に響き渡る中、あたしは声を潜めて話していた。
「…銃は否定出来ないが、うちのシマじゃあシャブはご法度だ。だから大丈夫だよ」
「お兄ちゃん…お願いだから死なないでよ」
あたしの目から涙が零れ落ちる。
本当はヤクザなんて辞めて、と言うつもりだった。
映画のような世界じゃないし、お兄ちゃんが死んじゃったら、あたしは本当に一人ぼっちになってしまう―…。
でも、あんな真っ直ぐな思いを抱いて任侠の道を歩む、お兄ちゃんを辞めさせるなんてきっと命よりも重いことなんだと思ったからだ。
だからお兄ちゃんを信じることに決めた―…。