Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
〜第六章〜 縁結び
お兄ちゃんと離れて一ヶ月が過ぎ山崎家の両親と平凡に過ごす毎日を繰り返していた。
明日は卒業式―…。
ずっと仮面を被り続けてきて本当の高校生になれたのは、ほんの僅かな時間だったけどみんなとの別れはやっぱり寂しかった。
「麻里ちゃん入るわよ」
部屋の窓から小鳥達が梅の花をジャングルジムのように駆け回る姿を眺めているとお母さんの声が聞こえた。
「制服かけとくわよ。いよいよ明日ね。お父さんも卒業式に来るからね。娘の巣立つ姿を見たいんですって」
にっこり笑いクリーニングから返ってきたばかりの制服をかけてベッドに腰掛ける。
「お母さん、大学行かなくてごめんね」
「麻里ちゃんが決めたことじゃない。無理には言えないわ。麻里ちゃんに夢が見つかった時にまた考えればいいしね」
「うん、ありがとう…」
お父さんもお母さんも大学進学を期待していたはずなのに”夢が見つかるまでAngelでバイトするから”と言ったあたしに反対することなく賛成してくれた。
でも、こんなに優しい両親なのにお兄ちゃんの話を出すと二人とも鬼のような顔になる…―。
これだけはずっと謎に包まれたままだった―…。