Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
莉奈と歩いていると男の人らしき声に一瞬体が固まった。
今の時刻は深夜一時。
こんな夜中に声をかけてくる奴なんてきっと…変質者に決まってる。
「麻里、あいつ絶対痴漢やで。逃げるよ」
「うん」
あたしと莉奈は近寄る足音に恐怖感を覚え、男の方を振り向くことなく一斉に走り出した。
男が何度か”待ってよ”と呼び止めようとする度に二人の足は加速した。
どれくらい走っただろうか。
気がついたら莉奈と別れる駅に着いていた。
「あぁ〜疲れた。もう大丈夫でしょ!変態野郎めぇ」
肩を揺らし息を荒くした莉奈が駅のホームで汗だくの体を拭きながら乱れた髪を直す。
「夏の夜道は危険がいっぱいだよね」
あたしも髪を整え、荒れた体にスポーツドリンクを流し込み大きく深呼吸をした。
この時、お揃いのお守りがあたしのバックから消えていたなんて気付きもしなかった。
そして―…それが縁結び になることも――。