Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜


「じゃあ、週末だけ頼んだわよ」


ある夏の土曜日、お盆前で稼ぎ時期の開店前のミーティングで莉奈とあなしはママに呼ばれ週末だけ庶務課から外れることを許可された。


「やっぱりママもあたしや麻里の手が必要なことにやっと気が付いたんやろうね」


可愛い顔にメイクをする莉奈を見るのは久しぶりだった。


「ねぇ、麻里そういえば颯斗さんとは連絡取ってんの?この間の痴漢だって颯斗さんに言えば速攻捕まるんじゃない?」


「お兄ちゃんとは会っちゃいけないの、あいつ何考えてるか分からんわ」


溜息混じりに覚えたばかりの煙草に火を付ける。


煙草の味とか分からないけど何となく”大人”になりたくて手にしたメンソールの煙草。


お兄ちゃんに会えないイライラもこのメンソールの喉にくる刺激が癒してくれていた。


あの日以来、お兄ちゃんとは音信不通で、卒業式の日に薔薇の花束が届けられただけだった。














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