Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
剛とはあれから高校時代の話で盛り上がり、意外な事も知った。
剛の家族は父親は大学教授。母親は大学病院の看護部長。二歳年上のお兄さんは医大生。いわゆるエリート一家だった。
剛は小さい頃から”学者になれ”という親の引いたレールの上をずっと歩かされ剛の意思はどこにもなかった。
高校に入った剛は自分の将来が偽物に終わることに気付き父親に”俺の人生は俺が決める”と初めて自分の意思で大学進学を止めた。
あたしはずっと剛は好きで勉強してるのかと思ってたから以外だった。
当然親からは勘当され家を出てた剛は就職活動中にたまたま飲み屋街を歩いていてあたしを発見したらしい。
剛との再会は偶然と言えば偶然だったが週末になるとAngelに顔を出すようになっていた。
「お前、水商売なんて止めろよ。そんな肌見せてさ」
慣れた手付きで水割りを作るあたしの手を剛が止めた。
「あたしはこの場所が好きなの。って言っても週末以外は雑用ばかりの庶務課にいるけどね、ほら、あそこ」
”事務所”と書かれたドアを指差した。
話が読めない剛の頭の上には沢山のハテナマークが浮いていた。
「それよりさ、俺この間歩いてたらコレ拾っちゃったんだよね。前を歩いていたギャルに落としたって教えてんのに逃げやがってさぁ〜。俺が痴漢とかでも思ったんじゃねぇ〜あんなギャルこっちからお断りだっつぅの」
剛はスーツのポケットから小さい袋を取り出した。