Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「アハハ、逃げられちゃったんだ。そんなダッサイ眼鏡かけて話しかけられたら、あたしだって逃げるよ。で、何拾ったの?」
剛の隣にピタッとくっつき小さな紙袋を覗き込んだ。
「それがお守りみてぇでなんか捨てらんないんだよね。これなんだけど…」
中身を見て愕然とした。
見覚えのある水色の袋。表には”縁結び”の文字。そして可愛い黄色の鈴。あたしは思わず剛の手からお守りをもぎ取った。
「これ……ちょっと待ってて」
あたしは急いで更衣室に入りロッカーを開けてお兄ちゃんから買って貰ったブランドのバックを見た。
無い……。
莉奈から貰った水色のお守りが消えていた。
あれ、あたしのだ。
じゃあ、あの日の変質者は剛だったんだ…。
大きな溜息を吐き出し更衣室を出て剛の待つボックスへと向かった。
やばい…。
さっきあんなに笑ったくせにあたしのだなんて言い出しにくいよ…。
「どうかしたのか?」
「う、うん」
テーブルの上に置かれたお守りをチラ見しながら席につく。
「それ…あたしのなんだよね」