Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜


「お待たせ」


髪をアップにして白いコートを着た莉奈がウサギの様に白い息を吐きながら走ってちょこんとベンチに座った。


首もとから匂うウルトラマリンの香水が莉奈であることを証明させた。


「メール見た?」


「見た見た。篤さん来るんでしょ?超嬉しいんだけど」


いや…そっちの話じゃないんですけど…といった顔で莉奈を見ると慌てて
緩んだ口元を直し真面目な顔を見せた。


「その、剛君も来るんだよね…?」


あたしは大きく頷いた。


「じゃあ、剛君にメールすればいいじゃん」


お互いの煙草の煙りが綺麗な夜空に雲を描いたように覆った。


「メール?」


首を傾げると莉奈は得意げに立ち上がり難しい事件を推理する探偵みたく人差し指を鼻に当てた。


「剛君は麻里が店に出る週末にしか来ない。ってことは麻里が店に出ないって言えば彼は絶対麻里のいないAngelには来ないはずよ!」


「ってことは…休むって嘘言うんだよね?本当に信用するかな?」


「大丈夫よ。早くメールしなきゃ剛君、家出ちゃうよ」


携帯を持つ手がずっと震えていたのに莉奈の温かい両手に包まれあたしは剛に嘘のメールを作成した…―。














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