Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「ありがとうございました〜またね」
「今日は麻里達のお陰で楽しい酒が飲めたよ。ありがとな」
「うん!」
莉奈と二人をビルの下まで見送ると、背後からただならね奇妙な気配を感じ背筋が凍りつくような感覚を覚えた。
「山崎、俺を騙したな」
低い声が鼓膜を貫通し体中を震わせた。
隣にいる莉奈も同じように固まっている―。
恐る恐る振り向くとビルの階段の隙間からあのクロブチ眼鏡から鋭い目つきでこちらを睨んでいた。
「つ、つよし…」
そこにはイケメン剛ではなく最初会った時の、ダサイ格好をした剛が立っていた。
そして更にあたし達を凍らせた。
「山崎、男いたんだ。あの黒いスーツの奴だよな。お前の彼氏。ずっとあいつの隣にいたもんな。」
「ち、違うの。あれは、お兄…」
「黙れ!!!!」
剛の罵声に通行人達が一斉に振り返る。
「俺はずっとAngelにいたんだぜ。ブスな女にマズイ酒を注がれながらな」
剛が店にいた……??
どうして……??
あたし達がいたボックスは店内の一番奥にあり出入りする扉が視野に入りにくく剛がいたことに全く気付いていなかった―。
もはや口までも剛の猛毒が浸透し動かなくなっていた―。