Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
酔っ払いの親父があたしを店のキャッチだと思い込んで”どこの店かな”なんて臭い息を吐きながらもたれかかる―。
その親父らを鋭い目をした蛇が次々に威嚇して追い払った。
沈黙が続く中、莉奈から事情を聞いて血相を変えたオーナーが木刀片手に降りてきた。
「麻里、大丈夫か?」
この時ばかりは、オーナーの存在が神様に思えた。
剛は目線をそらし、ポケットに手を入れ舌打ちをした。
「山崎、明日店終わったら必ず連絡しろよ。必ずな」
そう言い残し、混み合う飲み屋街の中に消えて行った。
オーナーが溜め息混じりにすっかり冷えてしまった肩にコートをかけてくれた。
「今度また何かされたら金田さんに報告せんないかんな、庶務課でもうちの大事な女の子だからな」
オーナーの自慢の髭が北風に揺られ、なびいていた。