Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
〜第七章〜 愛のオモサ
冬の夜空に不気味な雲が綺麗に輝く月を呑み込もうとしていた―…。
まるで、毒殺する日を導いているかのように…――。
「ねぇ、剛…話って何?」
真夜中のベンチに座り、何も話さない剛にあたしから口を開いた。
「昨日は…ごめん」
僅かに通る車のライトから剛がクロブチ眼鏡の格好では無い事が分かった。
「いいよ。嘘ついたのはあたしだし…ごめんね」
すると剛は体ごとあたしに向けて両手を握った。
「あのチンピラが好きなのか…?あいつらは平気で人を撃ち殺す魔物なんだぞ」
「剛…?」
歯を食いしばりあたしの手を力強く握る姿は自分の身内か知り合いをヤクザに殺され怨んでいるかのような表情を見せた。
「剛、あのね…あれは…お兄ちゃんなの」
「嘘だろ」
剛は酷く動揺し、なかなか煙草に火が付けられない―。
あたしはそっとお店でするように剛に火を差し出す―。
そしてあたしの過去を初めて剛に話した。