先生の秘密は恋の予感
私はしりもちを付いたまま立てないでいた。


岬が部室から出て来た。


今のこの状態はかなりヤバい。


ヤバすぎる。



「佳奈実、どうした?大丈夫か。」


大丈夫じゃないけど。



「あ、今、彩子さんとぶつかって、彩子さんが泣いてましたけど。」


ことはが上手く出てこない。



「もしかして、佳奈実は俺たちの話を聞いてたのか。」



「はい、ごめんさない。」



「別に謝らなくていいよ。」


嫌、謝りたいんです。



「彩子とは幼馴染みで、家も近いしずっと一緒だった。
彩子は男みたいに強くて、泣き虫だった俺をいつも助けてくれた。中学で彩子もバスケ部入り、二人で頑張って来た。」


ステキな関係で羨ましい。



「彩子に好きだって告白された。だけど、彩子のことは友達以上に思えなくて、恋人同士にはなれないって断った。
高校へ入っても彩子は俺を好きだと言い、ずっと俺の側にいた。」


今は好きになれなくても、絶対彩子さんの良さが分かると思う。


「やっぱり無理なんだ。彩子にキスしたいとか、彩子を抱きたいとか思えない。佳奈実にはドキドキして、胸が苦しくなる。佳奈実にキスしたい。佳奈実を抱きたいっていつも思ってる。」


かなり大胆な発言です。


私はそんな関係を望んではいない。


今は高校生らしい生活をしたいし、高校生がやらなくてはいけないことをもっと学びたいな。


私は基本真面目ないんです。


なんて、口に出して言えたら良いのに。


本当に悲しい。

















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