先生の秘密は恋の予感
頼むから、万由美は大人しくしていてくれよ。


よけいな事は言うな。


この女にそれは無理だった。



「あら佳奈実ちゃん久しぶり。佳奈実ちゃんは浩平の彼女になったんだってね。佳奈実ちゃんも中々やるわね。加納の次は浩平なんだ。」



万由美、おまえは今関係ないだろうが。


本当におまえはウザい。



「宗平、私は会社に結婚して辞める事を話してあるから、早く結婚式挙げたいの。先日、宗平のご両親にも電話で、結婚の報告しておいたからね。」


何を勝手な事をするんだ。


万由美、いい加減にしてくれよ。



俺はおまえと結婚するつもりはない。



今ここでそれを言えば、万由美は暴れて怒り出すだろうから、まずは万由美をここから連れ出さないと不味いな。



だけど、佳奈実をこんなとこに置いて帰る訳にはいかない。



「宗平のマンションに行きたい。」



佳奈実が一瞬辛そうな顔をしたが。


微笑んで言う。


「本城先生、私なら大丈夫ですから、万由美さんとお帰り下さい。」


そんなこと出来るはすがないだろ。



「それは出来ないよ。可愛い生徒をここに置いては帰れない。」



佳奈実が俺を睨み付けた。


何をそんなに怒るんだよ。



「本城先生、下手な同情はいりませんから。」


違うんだよ。


同情なんかじゃない。


佳奈実が好きだから、一緒にいて佳奈実に大丈夫だと伝えたいんだ。


ただそれだけなのに、なんで上手くいかないのだろうか。


とうして、こんな事になってるのか、本当に情けない。







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