先生の秘密は恋の予感

本城宗平の思い

佳奈実にこんな思いをさせたくなかった。



怖かったな。



「佳奈実に怖い思いをさせてごめんな。」



俺は強く佳奈実を抱き締めた。



俺の腕の中で佳奈実が暴れる。


「本城がなんで謝るの。加東は本気で私を抱こうとしてなかったと思う。だって、加東は泣いてたから。」



佳奈実、本当にごめんよ。



佳奈実なら大輔の心を開かせてくれると思って、俺は賭けに出たんだ。



でも、佳奈実をあんな目に合わせてしまった。


俺が行くのがもう少し遅かったと思うとぞっとした。


大輔はそんなバカな男ではないと思っていたが、あそこまでやるとは俺の計算違い。


もしも、佳奈実に何かあったら、俺は大輔に殴りかかっていたと思う。



俺の佳奈実に何をするんだ。



俺の佳奈実?



佳奈実は俺の可愛い生徒だよな。



ただそれだけ。



だよな?



自分に何回か問い掛けてみる。



俺の隣を歩く可愛い佳奈実。



横目で俺を睨む。


「お昼はカレーパンでいいから。」


「カレーパンって。」



「だって、加東にお昼おもって貰うつもりでいたんだからね。本城が邪魔したから、本城に買って貰うの。」



佳奈実は本当に可愛い奴。


カレーパンぐらいならいくつでも買ってやるよ。


10個でも100個でも。









< 86 / 178 >

この作品をシェア

pagetop