いとしのかずん

別離

それからの数日間、敦美は俺の家に寝泊まりした。朝、目覚めてから夜、寝る直前まで、敦美と共に過ごした。そして、今日は日曜日。敦美が帰る日である。

「おばさん。お世話になりました」

ボストンバッグを両手に持ち、敦美は玄関先で頭を下げた。

「なにもー! こっちこそいろいろ助かったわ?」

「じゃあ、春から、よろしくお願いします」

「んだない、それまでに部屋かたしとくからない」

「うん」

敦美は、満面の笑みで答えた。
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