いとしのかずん
「巧、じゃあね」

駅のプラットホームには、敦美が乗る列車がすでにスタンバイしていた。敦美は、列車の入口あたりまで歩くと、俺の方を振り向いた。

「ああ……」

俺は、ちょっと照れて視線を外した。

「次に会うのは、春だね。それまで、ちゃんと勉強するんだよ?」

バッグを後ろ手に持ち、敦美はお姉さんぶる。
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