いとしのかずん
「さむっ」

ホームに風が通った。その寒さに、思わず手に息を吹きかけた。白い息は、手に届く前にすぐ透明になった。それは、まるで届きそうで届かない、敦美に対する俺の気持ちのようだった。
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