いとしのかずん
「んじゃ、行ってきます……」
俺も、無事に高校生となった。なんとか志望校にも潜り込むことができて、ほっと一息。不安のほうが多いけど、あと数年は好きなバドミントンにも燃えていられるのだなあ、と実感。
「巧! お弁当持ったの?」
とはいえ、日々の日常はさほどかわらない。玄関へ向かう俺に、母親がこうして声をかけるという、慣れ親しんだシーンも、中学の頃とたいして変わらない。
「ああ、持ったよ」
振り向かず、そう母に答えて俺は皮靴を履き、玄関を出る。生暖かい空気が体にまとわりつき、ほんのりと沈丁花の香りが漂ってくる。
俺も、無事に高校生となった。なんとか志望校にも潜り込むことができて、ほっと一息。不安のほうが多いけど、あと数年は好きなバドミントンにも燃えていられるのだなあ、と実感。
「巧! お弁当持ったの?」
とはいえ、日々の日常はさほどかわらない。玄関へ向かう俺に、母親がこうして声をかけるという、慣れ親しんだシーンも、中学の頃とたいして変わらない。
「ああ、持ったよ」
振り向かず、そう母に答えて俺は皮靴を履き、玄関を出る。生暖かい空気が体にまとわりつき、ほんのりと沈丁花の香りが漂ってくる。