いとしのかずん
「おう、山下、おはよう」

ヤツの名は、山下啓介。同級生で、同じバドミントン部でもある。中学も一緒で、けっこう一緒にいる時間の多いヤツだ。

「おはようじゃねえよ、巧。見たぞー!」

「見た? 何を?」

「とぼけんじゃねえよ! さっき、女と一緒にいただろ?」

「あ? あ、ああ……」

「ありゃあ誰だ? けっこう綺麗だったぞ? もしかして彼女か?」

山下は、そう言って小指を立てて見せた。
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