いとしのかずん
ゆっくりと、ベッドのほうに手を伸ばす。
やがてその手は、敦美のヒップに届きそうなほどまで近づいた。

「……ぅ……うーん」

敦美は一瞬、少し大きく寝息をたてた。
あわてて、伸ばした手を引っ込める。

届きそうで、届かない。
というより、届かせる勇気がない、といったほうが正解か。
どちらかというと、本能よりも理性のリミッターのほうが上回っているようだ。
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