いとしのかずん
「うわ!」


思わずたじろぐ俺。

男は、俺の目を凝視しつつゆっくりとこちらへ歩み寄ってきた。
その鋭い眼光が、しろうとのそれではないことを俺は生物としての危険察知能力で感じた。
眉間にしわを寄せながら、徐々に近づいてくる男。
そのうちに、胸元からチャカでも取り出すのでは、という危険すらはらんでいる。

もはや、恐怖で足もすくんでしまい、逃げることすらままならない。
俺は、その場で固まってしまった。


男は、やがて俺の目の前で止まると、そのいかつい顔を近づけてきて、口を開いた。
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