いとしのかずん
問題は、敦美の気持ちだ。

ケンタウルスのこと、どう思っているのか。

さっきも、まんざらでもない様子だったようにも見受けられたし、少なくとも迷惑このうえない、という感じではなさそうだ。

押しの強そうなケンタウルスだし、後輩として無下に断るというのも、かなりパワーが必要。

それでなくとも、人に対して気をつかう優しい性格の敦美、強引さに負けて付き合ってしまうことも考えられる。

「で? なんて答えたの?」

「別に……今は恋愛とかしてるヒマないんで、って」

「あ、そ……そなんだ」

あくまで淡々と話す敦美。

それが、自然なのか、それとも何かを悟られまいとしての行動なのか、俺には判別ができなかった。

ななめ後ろから見る栗色っぽい敦美の髪は、窓からの光が反射して、天使の輪っかがきらきらしていた。
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