いとしのかずん
「はい、ちゃんと渡しておくね」

ノートを受け取り、にっこりと微笑む敦美の顔を見て、少女も少しだけほっとしたのか、頬を軽く上気させたような、にこやかな笑みを浮かべた。

「じゃ、失礼します」

少女は、そう言って両手をスカートの前で揃えて深いお辞儀をし、すぐさまクルリと振り向いたかと思うと、早くこの場を去りたいという思いの現われであろうか、軽く小走りをして去っていった。
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