いとしのかずん
教室をみわたして、かなり離れた席に神崎の姿を確認した。ひとり、席に座って、なにやら授業の準備でもしているように見えた。近寄っていって、ノートを返してもいいのだが、まわりの目というものも、じゃっかん気にならなくも無い。向こうにしても、それほど仲良くもない俺にノートを貸したということが回りに認識されると、あらぬ?詮索をされないとも限らないし、こっちも、余計な気をまわすことにならないとも限らない。

人気のない時間に、こっそりと返したほうが、お互いのためなのだろう、と思った。
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