いとしのかずん
「お……お前…勝手に入んなよ!」

顔をいくぶん紅潮しているのを感じつつも、そう怒鳴った。

「だってー、ドア開いてたし……」

しかし、気にする様子もなく敦美は部屋に足を踏み入れた。

「…ったく……」

少し冷静さを取り戻し、ゆっくりとベッドに腰を下ろした。

「それにしても、汚い部屋だねー、ムサいってゆーかなんていうか……男の部屋ってやつ?」


敦美は部屋を見回す。たしかに床には漫画やゲームソフトが適度に散りばめられ足の踏み場もない。

部屋を眺める敦美の視線に、なぜか自分の恥部をさらしているような気持ちになり、とてつもない羞恥心をあおった。
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