いとしのかずん
「うっせーな…… 誰と話してんだ?」


ようやくうっすらと目を開け、壁の時計を見る。黒い文字盤の上をすべる白い短針は、10の数字を指していた。

――まだ10時か。もいっかい寝よ……


再び夢の中へ身をゆだねるべく、布団をかぶった。

すると下の階から

「巧(たくみ)-! 降りてらっしゃーい!」

かあちゃんが大声で俺を呼ぶ。
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