いとしのかずん
「へえー、ナノスマッシュ、かあ……かっこいいなあ……」

そんなことをつぶやきながら、シャフトに書いてあるロゴを見て指先でクルクルとラケット回している。

足を交互にぱたつかせている姿を見ていると、小学生の頃を思い出した。

――そう言えば昔っからこんな動きしてたな、敦美は……

夏、田舎のうちの縁側に座り、二人でシャボン玉をしたときも、とうもろこしを食べたときも、敦美は俺の横で足をパタパタと動かしていた。

そんな仕草は、昔とかわらない。

ただひとつ、かわったとすれば、それは……

「あたしもバドミントン、やってみようかしら……」

それは、細くてスラッとしたその見かけ。

今、俺の目の前でぱたつかせている足は、円柱のようだった少女のそれではなく、美しい脚線美の、大人の女性の足そのものだった。
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