いとしのかずん
「ねえ、巧? なにぼーっとしてんの?」

ぼーっと敦美の足に見とれている俺を、敦美が覗き込む。

「ん? あ、ああ……な、なに?」

「今度さあ、巧の試合、観てみたいなあ……」

「あ、ああ……年明けるとすぐ大会があるけど……でも平日だしな…」

「そっかあ…なら観に行けないか……」

ちょっと口をとがらせ、残念そうな表情を浮かべる敦美。

敦美が応援してくれたら、きっといいとこ見せようと張り切るだろうなコイツ、と、俺は自分を客観視した。

――俺だって、できれば観に来てもらいたいっつうの……
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