いとしのかずん
ーーやべ…どうしよ……

固まっている俺。すると敦美は自ら俺の胸を離れ、少し髪を直す仕草をした。その表情は、心なしか頬がぽっとピンク色になっているようにも見えた。


「巧? ……」


しばしの沈黙ののちに、敦美が口を開いた。

「あ……あの……」

言葉にならず、まごまごしている俺。

「巧って……意外とおっきいんだね……やっぱ、男、なんだなぁ……」

敦美は、そう言って俺を見上げ、手で身長を計る動作をした。
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