いとしのかずん
「本当に下宿させてもらっていいの? 叔父さん……」

「うちはかまへんで。ぎょうさん家賃払ろてもろたらな、かっかっかっ!」

高らかに笑う父。

「ぎ…ぎょうさん……」

敦美は若干ひるんだ表情を浮かべるも、母の

「なにもー、気にしないでいいからー」

という一言に、ほっとした様子で

「な、なら……そだな…3月の中頃から来ていい?」

と、母に言った。

「ああ、うちはいつでもいいわよー、ええと3月ね? んじゃあ、それまでに2階のお部屋を片付けんといかんねえ……」

「なら、よろしくお願いします、叔父さん叔母さん」

敦美は箸を置き、あらたまって頭を下げた。

ここに、敦美の下宿契約が成立したのだった。
< 40 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop