いとしのかずん
「せやから敦美ちゃん、ビシビシ鍛えたってくれるか」

「うんまあ…鍛えるっていうか、あたしが教えてあげられることは教えますよ…」

敦美がそう言うと父は

「ほな、それで決まりや!」

と言ってビールをゴクゴク飲み干した。

「んだねえ、これで巧の成績が上がれば安いもんだー」

母も敦美と目を合わせて笑った。

ーーたく…勝手に決めやがって……

イライラを募らせながら食事を進めていると

「ほら、お前からもお願いせんと!」

父はグラスを俺に向け言った。
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