いとしのかずん
「これもいい?…」

空いたご飯茶碗を手に、台所で洗い物をしている敦美の横からシンクに茶碗を置いた。

「はぁい!」

泡のついた手で俺から茶碗を受け取り、すかさずスポンジでギュッギュッと音を立て手際よく洗った。

「……ごちそうさま」

自分の部屋の戻ろうとリビングを横断し、部屋を出際にキッチンを振り返る。
敦美は一人、シンクに向かって洗い物をしていた。

ーー将来、敦美の旦那になる男は、この敦美の後ろ姿を毎日、拝むことができるのかな……

そんなことを思いつつ、リビングをあとにした。
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